2011-05-04

VOICE - Hiromi Uehara






やっと購入して毎日聴いています。

彼女のトリオというと、あの至福な瞬間がギュッと詰め込まれた"Spiral"を思い出す。彼女のリズムやメロディがあの時点で頂点を極めていて、そしてライブでの爆発力たるや凄まじいものがありました。それからSonic Bloom、ソロやスタンリー・クラークでのサイド、チック・コリアとの競演を経て、さらに前進しているピアノを彼女の世界を今回のアルバムに刻み付けています。本当に素晴らしい。圧倒的な音です。

すぐに「ひろみ節!」とニッコリしてしまう、メロディとリズム。アンサンブルの緩急が絶妙で、一瞬も耳を離せない(だけど緊張で疲れることはない)展開。3人の超絶技巧が火花を散らすというより、ベストなバランスで絡み合っているような安定感です。そして何より、これがトリオで表現されているということ、それだけ上原ひろみのピアノがさらに向上していること、に圧倒されます。ピアノで表現をするテクニカルな部分での飛躍が、明らかに聴こえてきます。

トリオって本当にミニマルな編成で、それぞれの持っている引き出しが顕著に表れる。バトルもあれば強固な結び目もある。表現することの限界のラインをどれだけ超えていくか、それがはっきり分かる瞬間、トリオならではのマジックが、このアルバムにはたくさん詰まっています。

スネークマンショウ再結成の際の桑原茂一のインタビューに「今の時代は、表現者にとって、生きているということも含め、自分が本当にすべきことが評価される時代」というような発言があった。上原ひろみは信じられないようなハードなライブ行脚を何年も続けていて、一瞬一瞬に全てを注ぎ、二度と訪れない生モノの感動を求めて、世界中を飛び回っています。そこから得たものを作品に落とし込む。そんな彼女の姿勢に、桑原氏の発言を思い出しました。

ジャズ云々っていうより、彼女の生き様やピアノが本当に大好きだって改めて痛感。音楽から学ぶものってたくさんある。それをenjoyするかは、受け取る側の努力なのだと。

ライブが楽しみ!

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