2010-12-16

「ノルウェイの森」

観てきました。

村上春樹の原作は毎年ってぐらい繰り返し読んでいて、大好きだしとても思い入れが強い小説です。それだけに、私の中でワタナベ君をはじめ、それぞれの人物像がはっきりと出来上がっているし、色んなシーンの空気や色やニオイが出来上がっているので、映画は映画として楽しもうとスクリーンを見据えた。がしかし、映像の色(青の繊細さがすごくキレイで美しかった)や、音楽(担当したのはジョニー・グリンウッド、しかもCANも流れる!)はいいなぁ、と思ったんだけど、何か大きなぼんやりとした部分は小説とはとても異なっているように感じた。せめて、直子・ワタナベ君・ミドリ の3人だけでも、もう少し繊細に掘り下げて描写してくれればなぁ・・・

うーん、やっぱり、不満!!

長くてもいいから、もう少し丁寧に進めてほしかったのが正直な感想。直子の繊細でどこにもぶつけられない深い悲しみや少女のような無防備さ、ワタナベ君のキズキ君に対して「俺は大人になるんだ」と話しかけるまでの葛藤や成長、ミドリの明るさと傷つきやすさがコロコロと入れ替わるかわいらしい部分・・・ のっぺりした表現に見えたのは、原作の読みすぎかもしれないけど・・・ これじゃ、ワタナベ君が精神を病んだ直子に振り回されつつセックスもどきなことをして、でも身近なミドリを選んで、最後はレイコさんとセックスします、終わり みたいな(まあ、原作も要はそういうことだけど)それだけ!?ってなっちゃうような・・・ 

菊池凛子の直子には端から期待してなかったので予想通りだった(私の中の直子は出っ歯じゃないし、 剛毛っぽい前髪でもないし、少女っぽいのを意識しまくったアクセントで喋ったりしないし、あんな泣き叫び方もしない)。ハマってるなぁと思ったのは突撃隊と、レコード店店長の細野晴臣(無言)と、門番の高橋幸宏、ハツミさんかな。

不満も多々あったけれど、トラン・アン・ユン監督には興味を持ったので、彼の作品をチェックしてみようと思った。そういえば、邦画を映画館で観たのは、これまた村上春樹が原作の「トニー滝谷」以来だった、と気づいた。

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