2016-07-24

muovia - Olli Aarni (preservation)



ここ2,3年ほどリリース頻度が謎なpreservationから、久しぶりのカセットのリリース。Olli Aarniは、Josh Masonとのスプリット7"以来、久しぶりに聴きます。ちなみにじょしゅさんがやっていたsunshine .ltdから出たカセットは傑作でした。

A面は、ぷかぷかと浮かんでは消える、泡のように反復する音と、前に迫ってくる緑や黄色のシンセの音たち。距離を保ちつつ、それぞれ鳴っていて、すごく引いた視点で見ると、まとまっている。水槽の中で時間を過ごす、水草のようなゆらめきと気泡、それをパッケージにしたような、閉じられた空間の音の鳴り方。

B面は、雨の日の街中のような、湿気と喧噪を含んだ夜の音。心地よくかぶさるノイズと、艶っとした濡れたようなシンセの音で、どこか透明感のある世界があります。しっとりとしていて、夜の景色に光が混じるような世界は、A面とは全然違う。

気持ちよくてずっと聴いていられるなあ。こういう色がたくさんではなく、限定した色だけが見えるドローンは、繰り返し聴けます。

augenblicke - Günter Schlienz (sacred phrases)



cosmic winnetou主催でおなじみGünterさんがsacred phrasesからリリース。カセットだと2本に分かれています。

これが朝に聴くと溶けてとろけてしまいそうな、めちゃくちゃ素敵なシンセなドローン。Günterさんの、どこかコズミックな色合いは、"soothing sounds for baby"のコントラストをもっとモヤモヤとさせた感じもありつつ、カラフルなようで、統一感もあり。

ゆったりと流れていく、ゼリーのような音たちは、ひとつひとつに電子音が持つひんやりとした温度があって、でも深い森の草のようなにおいがしたり、あたたかい色が見えたり。ミニマルだからこそ際立つ、機材とGünterさんの一体感が、すごく感じられる。

すごくリラックスできて、すごく涼しい、やっぱりGünterさんの音はいいなあ。

2016-07-05

the symbiont



Josh Masonが、sunshineから透明なvinylでリリースした大傑作"the symbiont"をbandcampにupしました!

この作品、リリースされた時にも散々言いましたが、本当に今でも色褪せることのない素晴らしい作品です。持ってない方、ぜひ買ってほしいです。本当に本当に最高。

じょしゅさん本人もこれはベストだ的なこと書いてました。

ぜひヘッドフォンで聴いてね:)

split - Kyle Landstra / Braeyden Jae(geology records)



いつもチェックしてるけど直接買うのは初めてかも、なgeologyから、Kyle LandstraとBraeydenのスプリット出ました。

Kyleさんの方はもうひたすら気持ちいいシンセのアンビエントドローン。宇宙色(青とか紫色とか)が一面に広がって、音の端っこがきらきらと光りを放つ、これぞ胸が清々しくなる音だなあと。ニューエイジ色が薄い分、冷たさを手に受けるような、そういう聴こえ方がするのもいいです。音と音の交わりがマーブル模様です。

Braeydenの方は、最近聴いてる中では、もちろん彼らしいストーリー性みたいなのはあるけど、もっと景色が同化しているというか。音のひとつひとつがくっきりと分かれながらも、とてもきちんと重なり合っている、そんな感じ。ピアノの音を中心に、ちいさなノイズ、ギターのドローン?もしくはシンセ、繰り返す中で少しずつ色や景色が変わり、視界が開けていく。彼の音楽はいつも美しいけど、この鮮やかな色彩にはハッとしました。

朝に聴くと溶けます・・・

2016-06-19

also - Lake Mary & Nathan Wheeler (wounded knife)



ポーランドのめっちゃ素敵なレーベル、wounded knifeからリリースされたLake Maryのカセット。彼のライブでバンドとして演奏しているメンバー、Nathan Wheelerとの共作です。

いつもは素敵なメロディーをギターで弾いているChazさんだけど、この作品ではいつもの感じのギターはなし。ピアノ、ボウイング奏法で、ゆらめきのある世界を作っています。シャルルマーニュ・パレスタインにインスパイアされて作られたんだそうで。だからミニマリズムな感じがするのかな?

白熱電球で照らされた光をずっと見つめているような、熱がある光の音。反復していく中でも、どこかあたたかみがあったり、少し色褪せたフィルムのような色合いの音が鳴っていたり、Lake Maryっぽさはとっても感じられます。

wounded knifeはアートワークがとにかく素敵で、だいすきなレーベル。オーナーの方もなかなかのカセットリスナーっぽくて、親近感が湧きます。

2016-06-18

frost / never felt 7" - Toner War / Brandon Hurtado (moreau)



ぶらんどん君が運営するmoreauよりリリースされた初めての7インチです。

とても楽しみにしていたので、届いた時はわくわく。ぶらんどん君、いつもありがとう!

片面は同じリッチモンドで活躍するToner War。初めて聴いたけど、暗いんだが、動きが見えるような感じで、かっこいいです。何やってるのか、よくわからないけど、ちゃんと頭の中で計算されている感じ。ひとつひとつはシンプルだけど、音がモヤってるから妙に広がりがあって、不思議と聴いてしまう。

もう片面はぶらんどん君のギターを使った暗め暗めのアンビエント。こういう起承転結がないようなドローンは心地よすぎて、終わってからも耳に残ります。薄いオレンジ色の光をまとったような音だと思っていたけど、最近のぶらんどん君のダークな感じもいいなあ。

アートワークは今回もとっても素敵。作品の世界観をよく表しています。

in mirrors - Former Selves (ginjoha 吟醸派)



former selvesことポールさんの最後となる作品です。

A面、B面ともに18分ほどの、ポールさん印ばっちりの、甘く切ない、ニューエイジな要素もふんだんに入った、光が差してくるようなアンビエント。

暗闇で、暗いネオンの光が照らしだす景色を見ているような感じ、これはポールさんだけだなって思います。

2014年にsic sicのオーナー、ダニエルさんと回ったジャパンツアーでレコーディングした音の素材もたくさん使われているとのこと。

ポールさんの音楽は、どの作品も優しくてシャイな人柄を表したような、とても誠実な音が鳴っていて、とっても大好きです。

これが最後、とは言っていたけど、きっとたぶんまた戻ってくるのかな?しれっと知らないところで、全然違う名義で作ってリリースしてほしいと思ったり。

とても大好きで、尊敬しているアーティストのひとり。そんなポールさんに、来日の際はたくさんお話もして、そしてこのカセットがリリースされた時も、感謝の気持ちを彼に伝えることが出来て、わたしはとっても嬉しい。

最後だと思うとさみしい感じに聴こえる時もあるけど、いつかまた戻ってきてね。

ライブ映像も。


2016-05-11

SIX PIECES FOR GUITAR - Stijn Hüwels (mAtter)



(Stijn,はまさきさん、書くのが本当に遅くなっちゃってごめんなさい・・・! I'm really really sorry for writing about this album...!!)

日本のレーベルmAtterより、ベルギーの大好きなお友達Stijnのリリースです。

去年にすださんとご一緒してから、彼の音楽の心地よさ、あたたかみ、は本当に心に染みる瞬間が多くて、送っていただいたこのアルバムも、よく真夜中に聴いています。

ギターの音の透明感だったり、奥行きのある低音が響く振動、それには研ぎ澄まされた感覚がいつも存在していて、どこかメランコリックな部分がある。

ドローンといえばそうかもしれない、でもこの透明感みたいな、グレーの透き通った光がゆらゆらと揺れるような、この世界はStijnならではのものかなあと、いつも思います。

例えば、疲れて帰ってきた夜に、鏡で自分の顔を見ながら彼の音を聴くと、ものすごく自分の中の感情が解放されていく。

持続する音は、その空間に自分を留めるけど、解放することもできる。Stijnの作る音楽は、たくさんのピースを丁寧に繋ぎ合わせた、あたたかい音のレースのようなもの。

とっても素敵なフィジカルのリリースなので手に取ってほしいです。

duquesne whistle



職場内で異動になってからもうすぐ1年。

1年の中で仕事内容変わったりしてるんですけど、半年近くずっと文章書いてるんです、仕事でずーっと、ぽちぽち。で、お家帰ったらもう、音楽聴いてすぐ眠くなっちゃう。お酒飲んでるし。

書いてない間、人生初めてのボブ・ディランのコンサートに行きました。

水玉のワンピース着て、気合い入れて買ったSS席のど真ん中で、死ぬまで忘れないような幸せな時間を過ごしました。もちろん号泣しました。

終わってから、菅野ヘッケルさんと偶然にもお話することも出来て、とにかく感激でした。ヘッケルさんのおかげで、ボブのことを大好きになれた感謝の気持ちを、まさかご本人に伝えることが出来たなんて、今思い出しても震える。

ファンというのは、情報が早いとか、音源をすべて持っているとか、そういうんじゃなく、その人を丸ごと大好きになって、その人の作ったものを理解しようと、背景も理解しようと、人生を注ぎ込むことだと思う。この船に乗るんだったら、最後までいなきゃダメ。みたいなのを、ずっと前にセドリックが言ってたけど、本当にそうだと思う。

やっぱり、そうならなきゃだめだな、頑張ろう。

2016-01-22

vesper - cecilia (moreau)



carpiからリリースしていたり、去年はphineryから出したカセットがとても良かったリッチモンドのアンビエント男子、ぶらんどん君ことBrandon Hurtado。

ぶらんどん君は日本が大好きなので、以前に緑茶と湯呑のセットをプレゼントしたら、とても喜んでいました。そんな彼の夢は、いつか日本でgigが出来たらいいなあということ。わたしなんぞは本当に微々たる力でしかサポートできないだろうけど、これからもっとリリースを重ねて、いつかその夢を実現してほしいなあと思いつつ、少しでも彼の音楽や写真などを日本のリスナーに知ってもらいたいなと、常々思っています。

そんなぶらんどん君ですが、去年の秋頃にmoreauというレーベルを立ち上げました。

その第1弾リリースが↑のcecilliaです。cecilliaは、ぶらんどん君と同じリッチモンド在住のDanaのユニットで、先日Danaが京都に来ていたので直接渡していただきました!

リッチモンドのギャラリーで録音したという、煙が漂うようなドローン。ベースの音が反響していったり、カセットテープで上乗せしていく音が、目の前をぶおんぶおん通り過ぎていく感じ。暗い空間で、入り口から明るい光が漏れている、まさにこのアルバムのジャケットのような光景が浮かび上がったり、ぼんやりした光が明滅していたり。

シンプルな構成ながらもしっかりと景色や色を浮かび上がらせるところが良いのです。こういう音は無機質な空間にすごく生えるなあと思ったり。

ぶらんどん君は、以前からも自分でリリースしている作品はとてもアートワークが一貫していて、とても好きです。何というか、手に取ると、じんわりと伝わるものがあるというか。もちろん中身の音楽もすごく素敵。

なかなか忙しいので頻繁にリリースを重ねることはできないと思いますが、ぜひレーベルも、ぶらんどん君の活動も、これから注目してほしいなと思います。

2016-01-04

senri records

大阪を拠点に活動されている、Yousei Suzukiさんがスタートされたレーベル"senri records"の紹介です。

ようせいさんのことは、scissor tailからリリースしてたので名前は知っていて、時々寄せてもらうpo'boy recordでもよくお話を聞いていたし、pelktopiaの増渕さんとも東京でご一緒されてたりと、すごくすごく気になる存在だったので、このレーベルがスタートした時はとても嬉しかったです。

先月、京都でのライブの際にやっと!お会いすることが出来て、とても感激でした。

じょしゅさんことJosh Masonの話題だったり、今後のリリースについてもお伺いすることもできて。憧れの人とお会いできると一気に心がうきうきします。

わたしが持ってるカセットでのリリースの紹介のみ。↓
(CDでリリースされているBroken Woods & Some Pyayersというようせいさんのアルバムもとてもおすすめです)

■River End / Takayasu Ueda
この作品はbandcampを見るとあのJosh Masonも!買っています。「川」をイメージした作品。その通りで、水の流れや触感を見事にギターの音のゆらぎで表現しています。わざとローファイっぽい音にしてるんでしょうか?ちょっと音にフィルターがかかってるような感じで、リバーブが心地よくかかってて、それがすごくもわっとまるっと音でかまくら作ってるような、こんもり感が出てるのがすごく素敵。本人も買ってますけど、じょしゅさんの音が好きな人には響く内容です。

■The Town where a Star Falls / Yousei Suzuki
先月の京都でのライブはこのアルバムのリリパでした。ギターとピアノで紡いでゆく、のどかで温かいメロディーが素敵な作品。これはDying for Bad Musicの人が買ってますね。(ここからリリースされているDaniel Bachmanの作品もとっても素敵なので、気になる方はぜひチェックしてみてください)ようせいさんの音は、アメリカ的ではなくすごく日本の空気があって、どこか昔を見つめているようですごく自分のスタイルとして落とし込まれていて。Remenberがフェイヒー先生がカバーしたIrving Berlinの曲 のカバーだったとは!勉強不足で恥ずかしい。わたしのお気に入りは"the riverside"です。夕日が似合うメロディーで、ようせいさんのギターのハミングが気持ちよく聴けるのが好きな部分。

■Sakura / Katsunori Uenishi
これを買った人第1号はわたしです!(自慢)
固定概念がそれぞれめっちゃあるはずの「桜」をタイトルにした理由が知りたいと思った作品。エレキでの即興演奏とのこと。音の滞空時間がそれなりに長くて、それが景色が絶えず変化していくドローンの作品のようだなと感じました。音のひとつひとつにすごく気を配って出しているのかなと。即興らしいノイズが聴こえたりするのも、また音が近くに感じられて好きです。


ライブの時にタイのソングライターのミックステープをいただいたんですが、これがめちゃくちゃいい!リリースされる予定はあるんでしょうか?ともかくこれすごく素敵なムードで、女子力高めの洒落くさったカフェでかかってても違和感ないですよ。うちのインコちゃん、文鳥ちゃんはこれ聴くとすごくリラックスしてまどろみます。

作品はbandcampでも買えますし、大阪や東京でも取扱いされているお店がいくつもあるので、ぜひ手に取っていただけたらと思います。

最後に、ライブで聴いたら泣いて泣いて、終わってからも涙が出てきた、「宙に浮いたブルース」は名曲なので、ライブに行かれた方はアンコールでリクエストしてみてください。